電気通信工事施工管理技士とは、電気通信設備の設置・保守を指揮し、工程管理や品質、安全確保を行う専門職です。本記事では、資格の概要や1級と2級の違い、 電気通信工事施工管理技士の主な仕事内容、安全管理や原価管理について詳しく解説します。また、具体的な業務内容や活躍の場、年収とキャリアパスについても触れ、この職業の魅力と将来性を紹介します。これから資格取得を目指す方にも役立つ情報が満載です。

1. 電気通信工事施工管理技士とは

電気通信工事施工管理技士は、電気通信設備の施工と管理を専門とする国家資格です。この資格を持つ者は、通信設備の設計や施工、保守管理に関する知識と技術を持っていると認められ、インフラ整備を担当する重要な役割を果たしています。また、資格取得によってキャリアアップや専門性の向上も期待できます。

1.1. 1級と2級の違い

電気通信工事施工管理技士の資格には1級と2級があり、その違いは主に管理できる工事の規模や役割にあります。

項目1級2級
管理する工事の規模大規模工事
(特定建設業を含む)
中小規模工事
(一般建設業のみ)
主任技術者
一般建設業の専任技術者
特定建設業の専任技術者
監理技術者
(4,500万円以上の工事で必要)

主なポイントは以下のとおりです。

専任技術者としての範囲:特定建設業の営業所における専任技術者として認められるのは1級のみです。
監理技術者としての資格:
1級は総額4,500万円以上(建築一式工事では7,000万円以上)の大規模工事を管理できますが、2級はそれ未満の中小規模工事が対象です。

1.2. 資格試験について

電気通信工事施工管理技士の資格試験の内容について解説します。

■1級電気通信工事施工管理技士

試験内容
・試験は「第一次検定」と「第二次検定」に分かれる。
・第一次検定:電気通信工学、施工管理法、法規をマークシート方式で実施。
・第二次検定:施工管理法(施工体験記述を含む)を記述式で実施。
・合格基準は各科目60%以上。

試験日程
年1回実施(第一次検定は9月、第二次検定は12月)

難易度
高度な知識と実務経験が求められるため、難易度は高いとされている。

■2級電気通信工事施工管理技士

試験内容
・試験は「第一次検定」と「第二次検定」に分かれる。
・第一次検定:電気通信工学、施工管理法、法規をマークシート方式で実施。
・第二次検定:施工管理法(施工体験記述を含む)を記述式で実施。
・合格基準は各科目60%以上。

試験日程
第一次検定は年2回(6月と11月)、第二次検定は年1回(11月)。

難易度
1級に比べて基礎的な知識が問われるため、比較的取り組みやすい。

出典:
電気通信工事施工管理技士とは?1級・2級の違い、試験概要と難易度や合格率を解説|工事士.com
【2025年版】電気通信工事施工管理技士を取得するメリットは?試験の概要も解説! | SAT株式会社

1.3. 資格取得のメリット

電気通信工事施工管理技士の資格を取得することで得られる主なメリットとして、まず専任技術者や監理技術者として活躍できる点が挙げられます。建設業法に基づき、営業所ごとに配置が義務付けられる専任技術者や監理技術者として従事することが可能になり、特に1級資格を持つ場合は、大規模な工事現場での監理技術者としての役割を担うことができます。

また、電話、インターネット、防犯カメラなどの通信設備工事に関する専門知識を証明できるため、通信インフラ需要が高まる現代において仕事の幅が広がります。

さらに、企業への貢献という観点でも、資格保有者が多いほど企業は受注しやすくなるため、所属する会社にも大きなメリットをもたらします。

自身のキャリアアップと収入増加の面でも有利に働くでしょう。資格を取得することで昇進や昇給が期待でき、資格手当が支給されるケースも多いです。さらに、転職市場でも有利に働き、より良い条件での就職が可能となります。

なお、電気通信工事施工管理技士を目指す上で、電気工事士の電気に関する基礎知識が試験勉強に役立つ可能性があります。電気工事士については1種と2種の具体的な違いなどをこちらで解説していますので、参考にしてみてください。

2. 電気通信工事施工管理技士の主な仕事内容

電気通信工事施工管理技士は、電気通信設備の施工計画の立案、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理といった多岐にわたる業務を行います。これにより、工事の進行がスムーズで且つ確実に行われるように努めるのが主な仕事です。また、各業務を調整し、プロジェクトを予定通りに完了させることも重要な役割です。

2.1. 施工計画の立案

施工計画は、工事を効率的かつ安全に進めるための基本的な設計図です。具体的には以下を含みます。

現場調査:施工条件や周辺環境を調査し、発注者の要求水準を満たす計画を立案します。
計画内容:工事手順、使用機材、必要人員、資材調達スケジュールなどを決定します。
目的:工期短縮、コスト削減、安全確保、環境負荷軽減などのバランスを考慮した最適な施工方法を選定します。

2.2. 工程管理

工程管理は、工事が計画通り進むよう進捗状況を把握・調整する業務です。

進捗確認:日々の作業状況を記録し、遅れが発生した場合は迅速に対策を講じます。
調整:複数の作業工程が円滑に進むようスケジュールを調整します。
ラブル対応:予期せぬ問題が発生した際には柔軟に対応し、工期への影響を最小限に抑えます。

2.3. 品質管理

品質管理は、工事が設計図書や契約条件に基づいて行われていることを確認する業務です。

材料・機材の品質確認:使用する資材や機器が規格基準を満たしているか検査します。
試験・記録:品質基準に基づいた試験(例:ヒストグラムや管理図)を実施し、その結果を記録します。
完成品の確認:工事完了後、成果物が設計図通りであるか最終チェックを行います。

なお、電気通信設備の施工後には、品質管理の一環として絶縁抵抗測定を実施することが推奨されます。絶縁抵抗を測定する方法や測定時の注意点について、こちらで詳しく解説しています。

2.4. 安全管理

安全管理は、作業員や周辺環境の安全確保を目的とした業務です。

安全対策の実施:現場での危険箇所特定、防護設備設置、安全教育実施などを行います。
法令遵守:労働安全衛生法や関連規則に従い、安全基準を満たすよう管理します。
事故対応:万一事故が発生した場合には迅速な救護・復旧措置を取ります。

なお、電気通信工事の現場では作業員や設備の安全確保が最優先されます。感電や火災を防ぐための具体的な安全対策について、詳しくはこちらをご覧ください。また、適切なブレーカー増設も安全性を確保する重要な要素となりますので、安全に取り組むための分電盤ブレーカー増設方法についても確認しておきましょう。

2.5. 原価管理

原価管理は、工事費用が予算内で収まるよう調整する業務です。

予算作成:材料費、人件費、機械費用など各項目ごとの詳細な予算計画を立てます。
コスト削減:不必要な経費削減や効率的な資材利用によってコストパフォーマンスを向上させます。
実績確認:「工事台帳」などで支出状況と予算との差異を常時監視し、必要に応じて修正します。

出典:
電気通信工事施工管理技士の受験資格と実務経験を解説 – 1・2級のそれぞれの効果的な対策法を伝授します
施工管理技士の種類や資格試験の難易度、仕事の需要や働き方を徹底解説 – 総合人材エージェント ビーバーズ

3. 電気通信工事の具体的な内容

電気通信工事には、通信インフラの構築や保守が含まれ、現代社会に欠かせない役割を担います。具体的には、有線、無線、ネットワーク、情報設備、放送機械設備の工事があります。これらの工事を通じて、高品質な通信環境を提供し、私たちの生活やビジネス活動を支える基盤を整備していきます。

3.1. 有線電気通信設備工事

有線電気通信設備工事では、光ファイバーや電話回線などの有線通信インフラを構築します。光ファイバーの敷設や接続を行い、高速かつ安定した通信環境を実現します。また、電話回線の設置や修理も重要な業務の一つです。高い信頼性が求められるため、精密な作業が必要となります。

さらに、災害時の通信確保のため、耐久性の高い設備の導入が不可欠です。これにより、安全で信頼性の高い通信インフラが整備されます。

3.2. 無線電気通信設備工事

無線電気通信設備工事では、携帯電話基地局やWi-Fiスポットの設置を行います。基地局は広範囲に電波を提供し、携帯電話やインターネット接続を可能にします。また、ビル内や公共スペースにWi-Fiスポットを設置することで、快適な通信環境を提供します。

無線通信の品質向上のため、定期的なメンテナンスも実施します。これにより、常に安定した通信サービスを利用できる環境が整います。

3.3. ネットワーク設備工事

ネットワーク設備工事では、LANケーブルの配線やネットワーク機器の設置を行い、企業や家庭のネットワーク環境を整備します。有線LANと無線LANを適切に組み合わせることで、最適な通信環境を構築できます。

また、セキュリティ対策として、ファイアウォールやVPNの設定も行います。これにより、安全で快適なインターネット環境が確保されます。

3.4. 情報設備工事

情報設備工事では、サーバールームの設置やコンピュータネットワークの構築を行います。データセンターの設計・構築を通じて、情報の安全性と効率を向上させます。また、監視カメラやアクセスコントロールシステムの導入により、施設のセキュリティを強化します。

さらに、サーバーの定期的なメンテナンスとアップデートを実施し、常に最適な稼働状態を維持します。

3.5. 放送機械設備工事

放送機械設備工事では、テレビやラジオの送信装置の設置および保守を行います。また、アンテナの設置・調整を行い、受信品質を向上させます。さらに、災害時の緊急放送システムを整備し、必要な情報を迅速に提供できる体制を構築します。

4. 電気通信工事施工管理技士の活躍の場

電気通信工事施工管理技士は、多様な分野で活躍し、現代社会のインフラを支える重要な役割を果たしています。例えば、企業の施設管理者として、安全で快適な通信環境の整備を担当するほか、ネット回線事業者や警備会社でもその専門技術と知識が求められています。

こうした幅広い活躍の場が、技士としてのスキル向上につながり、社会全体の発展にも貢献しています。

4.1. 企業の施設管理者

企業の施設管理者として、電気通信工事施工管理技士は、社内の通信インフラの設計・構築・メンテナンスを担当します。社員が円滑に業務を進められるよう、既存の通信機器の更新や修理を行うほか、新技術の導入を通じて業務の効率化や生産性の向上にも貢献します。

4.2. ネット回線事業者

ネット回線事業者においても、電気通信工事施工管理技士の役割は不可欠です。通信ネットワークの構築を担当し、安定したインターネット接続を提供するほか、新規回線の導入や既存回線のメンテナンスを通じて、利用者の満足度向上に寄与します。

また、障害発生時には迅速な対応と原因究明を行い、通信インフラの信頼性を支えています。

4.3. 警備会社

警備会社では、防犯カメラやセンサーなどの設置・設定を担当し、施設の安全を守るための通信ネットワークを構築します。また、警備システムの定期点検やメンテナンスを行い、常に最適な動作状態を維持します。

また、万が一の不具合発生時には迅速に修理し、トラブルシューティングを実施します。こうした技術的な支援により、警備会社のセキュリティレベルを向上させ、安全な環境を提供しています。

5. 電気通信工事施工管理技士の年収とキャリアパス

電気通信工事施工管理技士の年収は、経験や資格の有無、勤務先の業態などにより異なります。この資格を取得することで、通信インフラの整備に関わる重要な役割を担い、キャリアの選択肢が広がります。技術の進化に伴う需要の増加により、将来的な安定も期待できます。

以下では、具体的な年収やキャリアアップの方法、今後の需要と将来性について詳しく解説します。

5.1. 平均年収

電気通信工事施工管理技士の平均年収は、おおよそ400万~600万円の範囲とされています。ただし、企業規模や地域によって異なります。未経験者は300万円程度からスタートすることが一般的ですが、経験を積むことで年収は着実に向上します。特に、マネジメント経験や大規模プロジェクトの担当経験がある技士は、1000万円以上の年収も期待できます。

大手企業では、ボーナスや福利厚生が充実しているケースが多く、年収全体に対してプラスの影響を与えます。また、資格手当や専門技能手当が支給されることもあり、スキル向上に伴う収入増加の機会も豊富です。したがって、継続的なスキルアップが年収向上の鍵となります。

出典:
電気通信工事施工管理技士の平均年収!年収アップする4ステップ | 建築設備ビズ
1級電気通信工事施工管理技士の年収・給料 | 建職バンク

5.2. キャリアアップの方法

電気通信工事施工管理技士としてキャリアアップを目指すには、継続的な学習と実務経験の積み重ねが重要です。新しい技術や規格に対応するため、定期的な研修や資格取得が求められます。特に、上級資格を取得することで、管理職への道が開け、より大規模なプロジェクトに関わる機会も増えます。

また、実務経験を通じて新しいスキルを習得することで、プロジェクトマネージャーやエンジニアリングチームのリーダーといった役職を目指すことが可能になります。さらに、業界内でのネットワーキングも重要です。同業他社との交流や勉強会への参加により、最新の情報を収集し、スキルの幅を広げることができます。

自己啓発の観点では、専門書の精読やオンライン講座の受講などを活用し、常に最新の知識を取り入れることが重要です。これらの取り組みを継続することで、より多様なキャリアの可能性が開かれ、充実した職業人生を築くことができます。

5.3. 今後の需要と将来性

電気通信工事施工管理技士の需要は、5G、IoT、スマートシティといった新技術の普及に伴い、今後さらに増加すると予想されます。特に、通信インフラの整備は都市部だけでなく地方でも進められており、全国的に求人が見込まれます。

また、政府や企業によるインフラ投資の推進も、需要増加を後押しする要因の一つです。さらに、持続可能な社会の実現や、エコシステムの確立にも貢献できる職種であり、社会的意義も大きいといえます。

技術の進化に伴い新たな課題が生じることが予想されるため、これに対応するためにはスキルアップや新しい資格の取得が不可欠です。こうした変化に適応できる技士は、将来にわたり安定した需要を享受できるでしょう。電気通信工事施工管理技士の将来性は極めて高く、今後も多くの活躍の機会が広がると考えられます。

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