広い空間を長時間照らす必要がある倉庫の照明は、エネルギーコストの大きな要因です。そこで注目されているのが、LED照明による省エネ対策です。

本記事では、倉庫の照明をLED化するメリットや、省エネ効果を最大化するための照明の選び方、導入時のポイントについてわかりやすく解説します。コスト削減はもちろん、作業環境の改善や安全性向上にもつながるLED照明の可能性を、ぜひご確認ください。

1. 倉庫の照明における省エネの重要性

電力コストが大きくなりがちな倉庫の照明には、効率的な省エネ対策が求められています。

1.1 倉庫のエネルギー消費における照明の割合

倉庫におけるエネルギー消費において、照明は無視できない大きな割合を占めています。特に、天井が高く、広大な面積を持つ倉庫では、十分な明るさを確保するために多数の照明器具が必要となり、その消費電力は膨大なものになりがちです。

従来の照明器具、例えば蛍光灯や水銀灯などは、LED照明と比較してエネルギー効率が低く、消費電力も大きいため、倉庫全体のエネルギー消費量を押し上げる要因となっています。そのため、倉庫の省エネ対策を検討する際には、まず照明の見直しから始めることが非常に重要です。

照明の省エネ化は、電気代の削減に直接つながるだけでなく、二酸化炭素排出量の削減にも貢献し、環境負荷の低減にもつながります。また、照明の質を向上させることで、作業効率の向上や従業員の安全性確保にもつながるなど、様々なメリットがあります。

したがって、倉庫の運営者は、照明の省エネ化を積極的に推進し、持続可能な倉庫運営を目指していくことが求められます。

1.2 蛍光灯からLED照明への切り替えメリット

蛍光灯からLED照明への切り替えは、倉庫の省エネ化において非常に有効な手段です。LED照明は、蛍光灯と比較して消費電力が大幅に少なく、一般的に約40%~60%程度の消費電力削減が期待できます。

また、LED照明は長寿命であることも大きなメリットです。蛍光灯の寿命が約6,000時間~12,000時間程度であるのに対し、LED照明の寿命は約40,000時間~60,000時間と非常に長いです。そのため、交換頻度が大幅に減少し、メンテナンスコストを削減することができます。

初期費用は蛍光灯よりも高くなる傾向がありますが、電気代の削減効果と長寿命によるメンテナンスコストの削減効果により、長期的に見るとコストメリットが大きくなります。さらに、LED照明は点灯が早く、ちらつきが少ないため、作業環境の改善にもつながります。

これらのメリットを総合的に考えると、蛍光灯からLED照明への切り替えは、倉庫の省エネ化、コスト削減、作業環境の改善に大きく貢献すると言えます。

1.3 水銀ランプ規制とLED照明への移行

水銀ランプは、高い演色性(照明の光が物の色をどれだけ自然に見せられるかを示す指標)と明るさから、かつては倉庫や工場などの広い空間で広く利用されていました。しかし、水銀は人体や環境に有害な物質であり、水俣病などの公害の原因ともなりました。そのため、国際的な環境保護の動きの中で、水銀の使用を規制する動きが強まりました。

日本では、2017年に 水銀に関する水俣条約 が発効され、特定用途の水銀ランプの製造・輸入が原則禁止となりました。これにより、倉庫や工場で使用されていた水銀ランプも、代替の照明器具への切り替えが必要となりました。

水銀ランプの代替として最適なのが、LED照明です。LED照明は、水銀を使用しておらず、環境負荷が低いというメリットがあります。また、水銀ランプと比較して、消費電力が少なく、長寿命であるため、ランニングコストを大幅に削減することができます。

さらに、LED照明は、演色性や明るさも向上しており、水銀ランプと同等以上の性能を発揮することができます。そのため、水銀ランプからLED照明への移行は、環境保護だけでなく、コスト削減や作業効率の向上にもつながる、一石三鳥の対策と言えます。

2. LED高天井照明の選び方と導入ポイント

倉庫の照明を省エネ化する上で、注目すべきなのが「LED高天井照明」の導入です。しかし、ただLEDに替えれば良いというわけではありません。照度の確保や配光設計、安全基準への適合など、選定にはいくつかの重要なポイントがあります。ここでは、倉庫に最適なLED照明を選ぶための具体的なチェックポイントをご紹介します。

2.1 倉庫の広さと高さに合わせた明るさの選定

倉庫の照明を選定する上で、最も重要な要素の一つが明るさです。明るさが不足していると、作業員の視認性が低下し、作業効率の低下や事故の原因となる可能性があります。逆に、明るすぎると、眩しさによる疲労やエネルギーの無駄遣いにつながります。

適切な明るさを確保するためには、倉庫の広さ、天井の高さ、作業内容などを考慮して、必要な照度を計算する必要があります。照度とは、単位面積当たりの光の量を表す指標で、ルクス(lx)という単位で表されます。

一般的に、倉庫の作業エリアでは、300ルクス~500ルクス程度の照度が推奨されています。ただし、細かい作業を行う場所や、危険物を扱う場所などでは、より高い照度が必要となる場合があります。また、通路や保管エリアなどでは、100ルクス~200ルクス程度の照度でも十分な場合があります。

2.2 照明器具の配光と配置計画

照明器具の配光とは、照明器具から照射される光の広がり方のことを指します。配光には、広角配光、中角配光、狭角配光など、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。倉庫の照明計画においては、作業エリアや通路など、場所によって適切な配光を選ぶことが重要です。

例えば、広い作業エリアでは、広角配光の照明器具を使用することで、均一な明るさを確保することができます。一方、通路や保管エリアなどでは、中角配光や狭角配光の照明器具を使用することで、必要な場所に効率的に光を照射することができます。

また、照明器具の配置計画も、明るさを均一に保つ上で重要な要素です。照明器具の間隔が広すぎると、明るさにムラが生じ、作業効率の低下や事故の原因となる可能性があります。逆に、照明器具の間隔が狭すぎると、エネルギーの無駄遣いにつながります。

照明器具の配置計画を立てる際には、倉庫の形状やレイアウト、作業内容などを考慮して、最適な配置を検討する必要があります。照明メーカーや専門業者に相談することで、より適切な配置計画を立てることができます。

2.3 粉塵・温度対策が施された照明器具の選定

倉庫内は、粉塵の発生や滞留が起きやすく、さらに高温になりやすいという環境的な特徴があります。そのため、倉庫で使用する照明器具は、これらの環境要因に耐えられるものでなければなりません。粉塵対策としては、IP(Ingress Protection)等級の高い、防塵性能を持つ照明器具を選定することが重要です。

IP等級とは、電気機器の筐体(きょうたい)が、外部からの異物や水の浸入に対してどの程度保護されているかを示す指標です。

用語意味ポイント
IP等級防塵・防水性能を表す国際規格IP〇〇(数字2桁)で表記
数字1桁目粉塵などの固形物への防御力(0〜6)数字が大きいほど高く、6は完全防塵
数字2桁目水への防御力(0〜9K)数字が大きいほど高い

例えば「IP65」は、粉塵が内部に侵入せず、あらゆる方向からの噴流水によっても有害な影響を受けないことを意味します。倉庫の環境に合わせて、適切なIP等級の照明器具を選定しましょう。

また、高温対策としては、耐熱性の高い素材を使用した照明器具や、放熱性の高い構造を持つ照明器具を選定することが重要です。高温環境下では、照明器具の寿命が短くなる可能性があるため、注意が必要です。

特に、LED照明は、高温に弱いという性質があるため、高温環境で使用する場合には、温度対策が施された製品を選ぶようにしましょう。照明メーカーや専門業者に相談することで、倉庫の環境に最適な照明器具を選ぶことができます。

3. 照明制御による更なる省エネ

倉庫における照明の省エネ化をさらに進めるためには、照明制御システムの導入が有効です。照明制御システムとは、タイマーやセンサーなどを用いて、照明の点灯・消灯や明るさを自動的に制御するシステムのことです。照明制御システムを導入することで、無駄な点灯時間を削減し、大幅な省エネ効果が期待できます。

3.1 タイマー制御による時間帯ごとの調光

タイマー制御は、設定した時間帯に応じて、照明の明るさを自動的に調整する機能です。倉庫の営業時間や作業スケジュールに合わせて、柔軟に設定することができます。また、季節や曜日によって、設定を変更することも可能です。

タイマー制御は、比較的簡単に導入できるため、照明制御システムの導入を検討する際の第一歩としておすすめです。既存の照明器具にタイマー機能を追加するだけで、省エネ効果を実感することができます。

3.2 人感センサーによる自動点灯・消灯

人感センサーは、人の動きを感知して自動的に照明を点灯・消灯するセンサーです。人の出入りが少ないエリアや、一時的にしか人が立ち入らないエリアなどに設置することで、無駄な点灯時間を削減することができます。例えば、倉庫の通路やトイレ、休憩室などに設置すると効果的です。

人感センサーには、赤外線センサーや超音波センサーなど、様々な種類があります。倉庫の環境や用途に合わせて、最適なセンサーを選定しましょう。また、人感センサーの感度や検知範囲を調整することで、誤作動を防止することができます。

人感センサーとタイマー制御を組み合わせることで、さらに高度な照明制御を行うことも可能です。例えば、夜間や休日など、人がほとんどいない時間帯には、自動的に照明を消灯するように設定することができます。また、人感センサーで人の動きを検知した場合に、タイマー設定を一時的に解除し、照明を明るくするなど、状況に応じて最適な照明制御を行うことができます。

3.3 明るさセンサーによる調光制御

明るさセンサーは、周囲の明るさを検知して、照明の明るさを自動的に調整するセンサーです。センサーの感度や範囲を調整することで、最適な明るさを維持することができます。

昼間など自然光が十分に入ってくる時間帯には、照明の明るさを抑え、夜間など自然光が不足する時間帯には、照明の明るさを上げることで、省エネ効果を高めることができます。また、従業員の作業環境の改善にもつながります。自然光を有効活用することで、目の疲れを軽減し、快適な作業空間を提供することができます。

明るさセンサーとタイマー制御を組み合わせることで、さらに高度な照明制御を行うことも可能です。例えば、季節や時間帯によって、明るさの基準値を変更するように設定することができます。

4. 倉庫の省エネ照明として注目される無電極ランプ『エコ太郎』

近年、次世代型の省エネ照明として注目されているのが、無電極ランプ『エコ太郎』です。その高い省エネ性能と長寿命、そして快適な明るさにより、今後倉庫をはじめとした多様な施設での活用が期待されています。

4.1 無電極ランプ『エコ太郎』とは?

『エコ太郎』は、省電力、長寿命、省資源化に優れた次世代照明です。消費電力は従来の水銀灯の約1/3であり、定格寿命は60,000~100,000時間と非常に長寿命です。さらに、空間全体に広がる光の性質は瞳にも優しく、太陽光に近い高い演色性を実現しています。

4.2 倉庫における『エコ太郎』の導入効果

倉庫での照明を『エコ太郎』に切り替えることで、以下のような効果が期待できます。

電気代の削減:消費電力が大幅に削減されるため、電気代の節約につながります。
メンテナンスコストの低減:長寿命のため、ランプ交換の頻度が減り、メンテナンスコストが抑えられます。
作業環境の改善:高い演色性と均一な光で、作業環境が向上し、作業効率のアップが期待できます。

4.3 『エコ太郎』導入事例

実際に『エコ太郎』を導入した現場では、照明の省エネ効果だけでなく、照度の向上や作業環境の改善といった具体的なメリットが報告されています。

沼尻産業 株式会社 様(株式会社つくばオートサービス 様)導入事例はこちら
自動車関連サービスを手がける現場において、エコ太郎の導入によって作業環境の明るさが大きく改善。省エネとともに、現場で働くスタッフの安全性向上にも寄与しています。

学校法人 日章学園 育英館高等学校 様(体育館)導入事例はこちら
広い体育館でも十分な明るさを確保しつつ、電力消費の大幅削減を実現。無電極ランプの均一な光が生徒の活動を快適にサポートしています。

これらの事例は、『エコ太郎』がさまざまな施設で柔軟に対応できる照明ソリューションであることを示しています。今後の照明選定や省エネ対策を検討する際の有力な選択肢となるでしょう。

『エコ太郎』について詳しくお知りになりたい方、照明の見直しを検討されている方は、スリーセンス株式会社まで是非ご相談ください。

5. まとめ:倉庫の省エネ照明はLED化が最適

倉庫の省エネ化の実現には、LED化が最も効果的なアプローチです。エネルギー消費の大幅削減だけでなく、メンテナンスの手間やコストの低減にもつながり、長期的なメリットが期待できます。省エネ化を検討している企業にとって、LED照明の導入は今や避けて通れない選択肢となっています。

5.1. LED照明への交換と照明制御で電気代を大幅削減

倉庫照明の省エネ化は、コスト削減と環境負荷低減の両立に不可欠です。その最も効果的な手段として、LED照明への交換と照明制御システムの導入が挙げられます。LED照明は、従来の蛍光灯や水銀灯と比較して、消費電力が大幅に少なく、長寿命であるため、電気代とメンテナンスコストを大幅に削減できます。

さらに、人感センサーや明るさセンサーなどの照明制御システムを導入することで、必要な時に必要な明るさだけを点灯させることができ、さらなる省エネ効果が期待できます。これらの組み合わせにより、電気代を大幅に削減し、持続可能な倉庫運営を実現することができます。

具体的な削減効果は、倉庫の規模や照明の使用状況によって異なりますが、多くの場合、年間で数十万円から数百万円の電気代削減が可能です。また、CO2排出量の削減にも貢献し、企業の環境対策にもつながります。倉庫の省エネ化は、企業にとって経済的メリットと環境的メリットの両方をもたらす、非常に重要な取り組みと言えるでしょう。

5.2. 補助金や税制優遇制度を活用

省エネ照明の導入には、初期費用がかかりますが、国や地方自治体が提供する補助金や税制優遇制度を活用することで、導入コストを大幅に削減することができます。これらの制度は、省エネ設備の導入を促進し、企業の負担を軽減することを目的としています。

例えば、以下のような制度があります。

省エネルギー投資促進支援事業費補助金(経済産業省 資源エネルギー庁)
LED照明や空調機器など、省エネ性能が高い設備の導入を支援。中小企業、大企業、個人事業主など幅広い事業者が対象。

中小企業等経営強化法による固定資産税の特例(経済産業省 中小企業庁)
認定された省エネ設備を導入すると、固定資産税が最大3年間半額に軽減。 経営力向上計画や賃上げ方針を策定し、市区町村から認定を受ける必要あり。

また、照明メーカーや専門業者に相談することで、利用可能な制度の提案や申請サポートを受けることも可能です。制度をうまく活用し、初期投資の負担を軽減しながら、省エネ照明の導入を検討しましょう。

5.3. 専門業者への相談と最適な照明プランの作成

倉庫の照明をLED化する際には、専門業者に相談し、最適な照明プランを作成してもらうことをおすすめします。

専門業者は、照明に関する専門知識や経験が豊富なので、倉庫の規模や形状、作業内容、予算などを考慮し、最適なLED照明の選定、配置、制御方法などを提案してくれます。また、補助金や税制優遇制度に関する情報提供や申請サポートも行ってくれます。

複数の業者に見積もりを依頼し、提案内容や費用を比較検討することをおすすめします。信頼できる専門業者を選び、安心してLED照明導入を進めましょう。

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