インバーターのエラーコードを見たとき、最初に行うべきことは、表示された文字を暗記表だけで探すことではありません。まず、「過電流」「過電圧」「過熱・過負荷」「不足電圧」「地絡」のどの保護機能が働いたのかを切り分けます。メーカーごとに表示は異なりますが、インバーターが守ろうとしている対象は共通しています。三菱FREQROLではE.OC1やE.OV1、富士FRENICではOC1やOV1、安川A1000/V1000ではoC、ov、Uv、東芝VF-AS3ではOC1やOP2、日立SJ700ではE01、E07、E09のように表示されます。

現場判断の基本:エラーコードは「壊れた部品名」ではなく、インバーターが検出した危険状態の分類です。コードを消すことより、同じ保護が再発する条件を特定することが優先です。

装置が止まっていると、早くリセットして再起動したくなります。しかし、地絡、即時再発する過電流、焦げ臭い過熱、主回路端子周辺の変色、漏電遮断器の動作を伴う停止は、安易な再投入を避けるべきです。とくに地絡は、モーター巻線、出力ケーブル、端子台、盤内の水分や油ミストが関係することがあり、リセットだけで再始動すると感電、焼損、二次故障につながるおそれがあります。

本記事では、まず6メーカー横断の中立表で保護機能を確認し、その後に保護機能ごとの原因、リセット判断、修理費用相場、FAQを順番に見ていきます。シリーズ、容量、ファームウェア、海外仕様、オプション設定によって表記が異なる場合があるため、実作業では必ず銘板の型式を確認し、三菱電機のFREQROL-D700公式マニュアル検索、富士電機のFRENIC公式資料、安川電機のA1000公式マニュアル検索、東芝のVF-AS3公式トラブルシュート、日立のSJ700保護機能一覧、パナソニックのVF-6E取扱説明書を確認してください。

【最重要】6メーカー横断・中立エラーコード一覧表

【最重要】6メーカー横断・中立エラーコード一覧表

以下の表は、装置停止中の保全担当者が最初に見るための横断一覧です。今回のファクトチェックを反映し、富士FRENICのOC2/OC3、東芝VF-AS3のOC・OP・不足電圧・地絡、日立SJ700のOC順序・OV・UV・GFを修正しています。重要なのは、メーカーによって番号の並びが同じではないという点です。三菱はOC1=加速、OC2=一定速、OC3=減速ですが、富士と東芝はOC1=加速、OC2=減速、OC3=一定速です。日立SJ700はE01=一定速、E02=減速、E03=加速です。

6メーカー横断一覧表
保護機能グループよく出るタイミング三菱FREQROL富士FRENIC安川A1000/V1000東芝VF-AS3日立SJ700パナソニック
OC:加速中過電流起動直後、加速途中、ワーク噛み込み直後E.OC1OC1oCOC1E03E001系・要機種確認
OC:一定速中過電流定常運転中、負荷変動時、機械抵抗増大時E.OC2OC3oCOC3E01E002系・要機種確認
OC:減速中過電流減速開始時、停止直前、回生負荷切替時E.OC3OC2oCOC2E02E003系・要機種確認
OV:加速中過電圧電源上昇、入力側サージ、瞬停後再始動E.OV1OV1ovOP1E07E007系・要機種確認
OV:一定速中過電圧定常中の電源変動、負荷側からの押し戻しE.OV2OV3ovOP3E07E008系・要機種確認
OV:減速中過電圧急減速、慣性負荷停止、制動抵抗不良E.OV3OV2ovOP2E07E009系・要機種確認
TH:モーター保護過熱・過負荷長時間過負荷、低速高負荷、冷却不足E.THMOL1/OL2oL1/oL2OLMt/OL2相当E05E005系・要機種確認
TH:インバーター保護過熱・過負荷盤内温度上昇、冷却ファン停止、フィン目詰まりE.THTOLU/OH1/OH3oHOH/OLInE21E006系・要機種確認
UV:不足電圧瞬停、電源容量不足、接触器劣化、入力欠相E.UVTLV/LUUvUP1E09E010系・要機種確認
GF:地絡モーター巻線絶縁低下、ケーブル損傷、水分侵入E.GFEFGFEF1/EF2E14E028系・要機種確認

この表で注意すべき点は三つあります。第一に、日立SJ700の過電圧はE07単一表示であり、E08やE09を過電圧として扱ってはいけません。日立SJ700のE08はEEPROMエラー、E09は不足電圧、E14は地絡、E21はインバーター過熱です。第二に、東芝VF-AS3では過電流がOC1/OC2/OC3、過電圧がOP1/OP2/OP3であり、OC-AやOP-Dのような表記ではありません。第三に、パナソニックは機種により表示体系が異なるため、現場表では「要機種確認」を併記し、実機の取扱説明書で照合してください。

特に誤認しやすいメーカー誤認しやすい点現場での読み替え
富士FRENICOC2とOC3の順序OC2は減速中、OC3は一定速中
東芝VF-AS3OP-Aなどの独自略号に置き換えないOP1=加速、OP2=減速、OP3=一定速
日立SJ700E08・E09をOVに入れないOVはE07単一、E09は不足電圧、E14は地絡
安川A1000/V1000大文字小文字の見え方公式表記はov、Uvなど。7セグ表示のため実機表示を優先

OC:過電流エラーの原因と点検順序

OC:過電流エラーの原因と点検順序

過電流は、インバーターの出力電流が保護レベルを超えたときに出ます。富士FRENICの資料では、OC1は加速中、OC2は減速中、OC3は一定速中の過電流として整理されています。東芝VF-AS3も同様に、OC1が加速中、OC2が減速中、OC3が一定速中です。一方で三菱FREQROLはE.OC1が加速中、E.OC2が一定速中、E.OC3が減速中で、日立SJ700はE03が加速中、E01が一定速中、E02が減速中です。したがって、番号を横並びで覚えるより、コードと発生タイミングをセットで読むことが重要です。

発生タイミング主な原因最初に見る場所すぐできる確認
加速中加速時間が短い、起動トルク不足、機械の噛み込み、モーター容量不一致加速時間、トルクブースト、負荷機構手回し確認、ベルト張り、負荷開放試運転
一定速中ワーク詰まり、軸受焼付き、搬送負荷増、モーター過負荷出力電流、機械抵抗、電流履歴無負荷運転、電流の増加傾向確認
減速中減速時間が短い、回生負荷、制動回路異常、急停止条件減速時間、制動抵抗、直流電圧減速時間を延ばして再現性確認
電源投入直後出力短絡、モーターケーブル損傷、インバーター内部短絡U/V/W配線、端子台、絶縁モーター切離し後の単体確認

過電流で最も危険なのは、負荷側の異常をインバーター設定だけで隠すことです。たとえばコンベヤのローラーが固着しているのに、加速時間を長くする、トルクブーストを上げる、電流制限を緩めるといった処置だけで運転を続けると、モーター温度上昇、ベルト損傷、減速機破損につながります。設定変更は原因調査のための一時的な切り分けに留め、恒久対策として機械側の摩耗、潤滑、異物噛み込み、芯ずれ、ブレーキ開放不良を確認してください。

過電流が起きたら、最初に出力端子U、V、Wとモーターケーブルを見ます。端子の緩み、焼け、銅線の毛羽立ち、ケーブル被覆の傷、制御盤内の切粉、水分、油ミストは、現場で見つかりやすい原因です。次にモーターの絶縁状態を確認します。地絡に近い状態でも、インバーター側では過電流として先に検出される場合があります。最後に、V/F設定、モーター定格電流、電子サーマル、加減速時間、トルクブースト、キャリア周波数が現物と合っているか確認します。

一回だけOCが出て、直後の点検で異音、異臭、温度上昇、端子焼けがなく、再起動後も電流値が通常範囲なら、ワーク詰まりや瞬間的な負荷変動の可能性があります。しかし、3回以内に再発するOC、またはリセット直後に即再発するOCは、単なる偶発ではなく、負荷異常、配線異常、インバーター素子劣化の疑いがあります。

OV:過電圧エラーの原因と点検順序

OV:過電圧エラーの原因と点検順序

過電圧は、インバーター内部の直流母線電圧が上がりすぎたときに発生します。東芝VF-AS3の公式トラブルシュートでは、OP1が加速中過電圧、OP2が減速中過電圧、OP3が一定速中過電圧として扱われます。日立SJ700は運転タイミング別ではなくE07の単一コードです。したがって、日立SJ700でE08やE09が出た場合に、E08を「一定速中過電圧」、E09を「減速中過電圧」と読むのは誤りです。

典型現象疑う原因対策の方向性
減速時だけOV減速時間不足、慣性負荷、制動抵抗未接続・断線減速時間延長、制動抵抗・回生ユニット確認
一定速中にOV電源電圧上昇、負荷側からの押し戻し、共通母線影響入力電圧測定、電源品質確認、負荷条件確認
加速中にOV入力サージ、瞬停後再始動、配線・リアクトル条件入力リアクトル、サージ対策、盤内配線確認
不定期にOV電源側設備の開閉、力率改善コンデンサ、雷サージ発生時刻と設備操作の照合

過電圧は「インバーターが壊れた」と判断されがちですが、原因は負荷条件や制動設計にあることが少なくありません。ファン、遠心分離機、巻取り機、昇降機、大径ロール、長いコンベヤなどは、停止時に大きな回生エネルギーを返します。減速時間を短くしすぎると、停止時間は短くなっても、直流母線電圧が上がり、OVで停止します。急停止が必要な装置では、減速時間だけで逃げるのではなく、制動抵抗、回生制動ユニット、機械ブレーキの役割分担を確認してください。

制動抵抗が付いている現場では、抵抗値、容量、配線断線、過熱保護、制動ユニットの故障を確認します。抵抗器の外観が焦げている、端子が緩んでいる、抵抗値が大きく変化している場合、OVの原因になります。抵抗器は熱を出す部品なので、周囲の可燃物、盤内温度、放熱スペースも点検対象です。

TH:過熱・過負荷エラーの原因と点検順序

TH:過熱・過負荷エラーの原因と点検順序

TH系のエラーは、大きくモーター保護過熱・過負荷インバーター保護過熱・過負荷に分けます。三菱FREQROLではE.THMがモーター過負荷、E.THTがインバーター過負荷に相当します。富士FRENICではOL1/OL2、OLU、OH1、OH3のように過負荷と温度系が分かれます。東芝VF-AS3ではモーター過負荷がOLMt、ドライブ過負荷がOLIn、ドライブ過熱がOHとして整理されます。日立SJ700ではE05が電子サーマルによる過負荷、E21がインバーター過熱です。E06は制動抵抗過負荷であり、インバーター過熱として扱わないでください。

区分主な原因点検ポイント
モーター過熱・過負荷過負荷、低速連続運転、冷却ファン不良、定格電流設定ミスモーター表面温度、負荷電流、電子サーマル設定
インバーター過熱盤内温度上昇、冷却ファン停止、フィン目詰まり、設置間隔不足冷却ファン、吸排気口、盤内換気、周囲温度
インバーター過負荷加減速頻度増、過大な出力電流、容量不足運転サイクル、電流トレンド、容量選定
制動抵抗過負荷頻繁な急減速、制動抵抗容量不足、制動設定不適合抵抗温度、容量、配線、減速時間

過熱エラーは、発生した瞬間だけでなく、前後の運転履歴を見る必要があります。盤内温度が高い夏場だけ出る、昼休み明けの再起動時に出る、連続運転の後半だけ出る、フィルター清掃後に出なくなるといった傾向があれば、温度環境が主因です。インバーターの冷却ファンは消耗品であり、ファン停止や風量低下があると、同じ負荷でもエラーが出やすくなります。

同月公開予定の「インバーターの寿命」とは、この章で強く接続できます。一回だけの過熱なら清掃や負荷条件で改善することがありますが、冷却ファン異音、電解コンデンサ劣化、焦げ臭、表示不安定、複数エラーの連発があれば、寿命に近い兆候として扱うべきです。

UV:不足電圧エラーの原因と点検順序

UV:不足電圧エラーの原因と点検順序

不足電圧は、インバーター内部の主回路電圧が必要レベルを下回ったときに発生します。三菱ではE.UVT、富士ではLVまたはLU、安川ではUv、東芝VF-AS3ではUP1、日立SJ700ではE09が該当します。日立SJ700のE10はCTエラーであり、不足電圧ではありません。

典型現象疑う原因確認方法
起動時にUV電源容量不足、突入電流、接触器劣化入力電圧、同時起動設備、端子電圧降下
運転中にUV瞬停、電源系統の切替、大容量負荷の投入発生時刻、電源品質、ライン側イベント
停止直前にUV制御電源低下、主回路遮断順序、外部シーケンス電源遮断シーケンス、RUN信号、PLCログ
不定期にUV端子緩み、接点劣化、入力欠相端子増し締め、接触器点検、相間電圧測定

UVは、インバーター単体の故障ではなく、工場側電源や盤内配線の問題として現れることが多いエラーです。電源電圧が正常でも、起動時だけ大きく落ちる、接触器接点が劣化して負荷時に電圧降下する、同じ幹線に大容量負荷があるといった条件では、運転中に不足電圧が発生します。測定は無負荷時だけでなく、発生しやすい運転条件で行うことが重要です。

GF:地絡エラーの原因と点検順序

GF:地絡エラーの原因と点検順序

地絡は、出力側の電流が大地へ漏れている、またはその可能性がある状態を検出したものです。三菱FREQROLではE.GF、富士FRENICではEF、安川ではGF、東芝VF-AS3ではEF1/EF2、日立SJ700ではE14が該当します。日立SJ700でE40を地絡として扱うのは誤りで、公式の保護機能一覧では地絡はE14です。

点検対象具体的に見る箇所判断の注意点
モーター巻線絶縁、端子箱内の水分、冷却ファン周辺絶縁抵抗は電圧階級とメーカー指示に従って測定
出力ケーブル被覆傷、曲げ部、可動部、端子の毛羽立ち可動ケーブルは見えない内部断線・絶縁低下に注意
制御盤内切粉、油ミスト、結露、端子台の汚れ清掃だけで再投入せず、原因となる侵入経路も確認
周辺設備漏電遮断器、接地線、ノイズフィルタインバーター用漏電対策と一般漏電対策を混同しない

地絡エラーは、リセットして消えたから安全とは言えません。水分や油ミストが乾いた一時的な状態、ケーブルが振動で一瞬だけ筐体に触れる状態、モーターが温まると絶縁が低下する状態では、再発まで時間差が出ます。GFが出た場合は、少なくとも出力ケーブルとモーターを切り分け、絶縁状態を確認してから再起動を判断してください。

リセット判定フロー:一回で消える/3回以内再発/即再発

リセット判定フロー:一回で消える/3回以内再発/即再発

インバーターのリセット判断は、コードの種類と再発パターンで分けます。現場では、復旧の早さだけでなく、保全記録として「何回リセットしたか」「何秒後に再発したか」「運転条件は同じか」を残すことが重要です。

リセット判定フロー
ケース状態対応方針記録すべきこと
一回で消える点検で異臭・異音・端子焼け・漏電なし。再起動後の電流と温度が通常範囲一時的な負荷変動として監視運転。ただし履歴を残すコード、時刻、負荷状態、電流、周波数
3回以内に再発同じ工程、同じ速度、同じ負荷で再発原因が残っていると判断し、設定・機械・配線を点検再発間隔、発生タイミング、操作内容
即再発リセット直後、RUN直後、電源投入直後に再発原則として運転停止。モーター切離し、絶縁、主回路確認へ切離し結果、端子状態、絶縁測定結果

保安上の結論:地絡、出力短絡疑い、焦げ臭、端子焼け、漏電遮断器動作、即時再発のOCは、現場判断だけで連続リセットしないでください。リセット操作は保護を解除する操作であり、原因を取り除く操作ではありません。

自動リトライ機能を使っている設備では、復旧が速い一方で、作業者が近くにいると突然再始動する危険があります。リトライ回数、待機時間、非常停止回路、安全柵、インターロック、警報表示を確認し、人が接近する設備では安全側に設定してください。

エラーコード別 修理費用相場

エラーコード別 修理費用相場

費用は容量、現場距離、交換部品、緊急対応、盤内改造の有無で大きく変わります。以下は、保全担当者が概算を説明するための目安です。正確な見積もりは、型式、容量、設置環境、原因調査の範囲を確認してから判断してください。

エラーグループ代表原因軽作業の目安部品交換・修理の目安高額化しやすい条件
OC過電流負荷噛み込み、設定不一致、配線異常1万〜5万円5万〜25万円モーター交換、インバーター主回路故障
OV過電圧減速時間不足、制動抵抗不良、電源サージ1万〜5万円5万〜20万円制動抵抗・回生ユニット追加、盤改造
TH過熱・過負荷ファン停止、フィン目詰まり、容量不足1万〜4万円3万〜18万円冷却ファン交換、盤換気改造、容量見直し
UV不足電圧接触器劣化、入力欠相、電源電圧低下1万〜6万円3万〜20万円幹線・電源設備側の調査、接触器交換
GF地絡モーター絶縁低下、ケーブル損傷、水分侵入2万〜8万円8万〜40万円以上モーター巻替え、長距離ケーブル更新、漏電対策

費用を抑えるには、エラーコードだけで修理依頼を出すのではなく、型式、容量、表示コード、発生タイミング、再発回数、負荷状態、直前の変更履歴をまとめて伝えることが有効です。とくにメーカー横断表を使う場合は、表で見た保護グループと、実機の正式コードを両方残してください。

インバーター エラーコードに関するFAQ

インバーター エラーコードに関するFAQ

Q1. インバーターのエラーコードはメーカー間で共通ですか?

共通ではありません。ただし過電流、過電圧、過熱、不足電圧、地絡という保護機能は共通性があります。

Q2. OC1、OC2、OC3はどのメーカーでも同じ順番ですか?

同じではありません。三菱、富士、東芝、日立で順番が異なるため、必ず機種別マニュアルで確認してください。

Q3. FR-D700のE.OC1は何を見ればよいですか?

加速中過電流です。加速時間、負荷の噛み込み、モーター容量、出力配線を確認します。

Q4. 安川のoCは加速中か減速中か分かりますか?

oCは過電流の代表表示です。発生時の運転状態、トレース情報、負荷条件から判断します。

Q5. 東芝VF-AS3のOP2は何ですか?

減速中過電圧です。減速時間不足、回生エネルギー、制動抵抗、入力電圧を確認します。

Q6. 日立SJ700のE09は過電圧ですか?

違います。E09は不足電圧です。日立SJ700の過電圧はE07です。

Q7. 日立SJ700のE08は何ですか?

EEPROMエラーです。過電圧ではないため、減速時間や制動抵抗だけを見ても原因に到達しません。

Q8. リセットしたら事故は起きませんか?

いいえ。リセットは保護を解除するだけで、原因を取り除きません。地絡、焦げ臭、端子焼け、即再発では再投入を避け、保安上の確認を優先してください。

Q9. 一回だけのエラーなら放置してよいですか?

放置は避け、時刻、コード、負荷状態、電流、温度を記録してください。再発しなければ監視運転、再発すれば原因調査へ進みます。

Q10. 過熱エラーはインバーター寿命ですか?

必ずしも寿命ではありません。盤内温度、ファン、フィン目詰まりで改善することがあります。ただし冷却ファン異音や複数エラー併発は寿命判定が必要です。

Q11. 修理と交換の判断はどこで分けますか?

容量、年式、部品供給、停止損失、再発履歴で判断します。古い機種で主回路や制御基板が疑わしい場合は交換検討が現実的です。

Q12. メーカー公式リンクはどこを見ればよいですか?

三菱、富士、安川、東芝、日立、パナソニックの各公式マニュアルまたは公式トラブルシュートを確認してください。本記事の外部リンクから確認できます。

DL資料:メーカー横断エラーコード一覧表PDFの使い方

DL資料:メーカー横断エラーコード一覧表PDFの使い方

DL資料は、現場作業棚に貼れるA41枚の「メーカー横断エラーコード一覧表」です。現場で使う場合は、表をそのまま暗記表として使うのではなく、実機型式、メーカー、正式コード、発生タイミングを記録するための補助資料として使ってください。とくに日立SJ700と東芝VF-AS3は誤認しやすいため、表の注意書きを残したまま掲示することを推奨します。

まとめ:コードを消す前に、保護機能と再発パターンを見る

まとめ:コードを消す前に、保護機能と再発パターンを見る

インバーターのエラーコードは、メーカーごとに表記が違うため、横断表があると初動は速くなります。ただし、横断表で最も危険なのは、番号の並びを機械的に合わせてしまうことです。富士、東芝、日立では、過電流の番号順が三菱と異なります。日立SJ700ではE08がEEPROMエラー、E09が不足電圧、E14が地絡です。これらを誤認すると、まったく違う点検に進んでしまいます。

現場では、まずコードを保護機能グループへ分類し、次に発生タイミングを確認し、最後にリセット後の再発パターンを見ます。一回で消えるなら監視運転、3回以内に再発するなら原因調査、即再発なら運転停止と切り分け点検です。特に地絡と即時再発の過電流は、復旧より保安を優先してください。

現場で本当に役立つ表は「便利な表」より「誤読しにくい表」です

現場で本当に役立つ表は「便利な表」より「誤読しにくい表」です

インバーターのエラーコード記事で最も価値があるのは、メーカーごとのコードを大量に並べることではなく、誤読しやすい差分を先に潰すことだと思います。今回のように、三菱ではE.OC2が一定速中、富士や東芝ではOC2が減速中、日立ではE02が減速中という違いは、現場で急いでいるほど間違えやすいポイントです。横断表は便利ですが、便利さを優先して番号を無理にそろえると、逆に危険になります。

保全担当者にとって大切なのは、「今すぐ再起動してよいか」「この停止は今回だけか」「寿命や重大故障に近いか」を短時間で判断することです。その意味で、エラーコード表は復旧のための早見表であると同時に、止める勇気を支える安全表でもあります。エラーが消えたかどうかだけでなく、なぜ出たか、どの条件で再発するか、次に同じ停止を起こさないには何を変えるべきかまで記録する現場ほど、結果的に停止時間も修理費も抑えられます。

参考サイト

三菱:FREQROL-D700公式マニュアル検索
富士:FRENICトラブルシューティング資料
安川:A1000公式マニュアル検索
東芝:VF-AS3公式トラブルシュート
日立:SJ700保護機能一覧
パナソニック:VF-6E取扱説明書