日本の夏は年々気温が上昇しており、猛暑日が常態化しています。特に空調設備が整っていない「倉庫」は、作業員が熱中症になるリスクが非常に高く、毎年多くの現場で対策が急務とされています。
厚生労働省の統計によると、熱中症による労働災害は屋外作業が多数を占める一方で、屋内作業においても全体の約2〜3割、近年では約3分の1程度が発生していることが報告されています。屋内であっても、空調が不十分な環境では深刻な熱中症リスクが存在します。
特に倉庫のように、空気が滞留しやすく、屋根や壁からの輻射熱がこもりやすい空間では、屋内作業であっても高温・高湿度環境になりやすく、注意が必要です。室内にもかかわらず、日射熱や屋根・壁からの輻射熱により、気温は外気より高くなることもしばしば。湿度も高くなるため、汗が蒸発せず、体温が下がらないという悪循環が生じやすいのです。
しかし、従来使われてきた工場扇やスポットクーラーだけでは、広い倉庫全体の空気を動かすことは困難で、根本的な対策にはなっていないケースも見られます。こうした課題を受け、今注目を集めているのが「大型ファン」の導入です。
本記事では、倉庫における熱中症リスクの実態から、従来対策の限界、そして大型ファンを活用した効率的な対策方法までを詳しく解説します。暑さ対策に悩む現場の方にとって、実践的なヒントとなる内容をお届けします。
倉庫における熱中症リスクの実態

夏場の倉庫作業は、見た目以上に過酷です。屋内であっても空調が効いていない、あるいは空気が滞留しやすい構造のため、外気温以上に体感温度が上がることも珍しくありません。ここでは、倉庫が熱中症の高リスク環境となる理由を詳しく見ていきましょう。
なお、本記事で取り上げている「倉庫」は、特定の業種区分としての統計データに基づくものではなく、空調が不十分になりやすい屋内作業環境の代表例として言及しています。実際の熱中症対策においては、業種や建物構造に応じた個別の検討が重要です。
倉庫環境が高温になりやすい理由
倉庫の多くは、広い空間に対して断熱性が低い建材が使用されており、太陽光を直接浴びる屋根や外壁からの輻射熱が内部にこもりやすくなっています。特に金属製の屋根を持つ倉庫では、日中の気温上昇に伴い、天井付近の温度が40℃を超えることもあります。
また、天井が高く空間が広いため、冷気を下まで届かせるには高性能な空調設備が必要ですが、コストや設置の制限から冷房が整備されていないケースが大半です。加えて、換気が不十分な倉庫では、熱や湿気が抜けずに室温と湿度が急上昇します。
作業員が受ける身体的な影響とは
このような環境下で作業を行う労働者には、極めて大きな身体的負担がかかります。汗をかいても蒸発せず、体温調整が機能しにくくなるため、軽度の脱水症状から重度の熱中症に至るケースもあります。
特に、荷物の搬送や仕分けといった肉体労働を伴う現場では、休憩時間を確保していても体力の消耗が激しく、注意力が低下しやすくなります。結果として、作業ミスや事故にもつながりかねません。
熱中症による労働災害とその損失
厚生労働省の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、近年、屋内作業における熱中症の発生件数は増加傾向にあります。倉庫のような閉鎖空間での熱中症は、単なる体調不良にとどまらず、労働災害として重大な事故や企業の信頼低下にも直結します。
また、熱中症で労働者が倒れれば、現場の稼働が停止し、人員の再配置や休業補償といった経済的損失も発生します。企業にとって、作業環境の改善は安全管理の観点だけでなく、生産性と利益を守る上でも重要な経営課題と言えるでしょう。
詳しくは厚生労働省:職場における熱中症の発生状況をご覧ください。
また、基本的な換気と、その必要性については「換気の基本と必要性」の記事で詳しく解説しています。
従来の熱中症対策とその限界

倉庫における熱中症対策として、これまで多くの現場で「工場扇」や「スポットクーラー」などが導入されてきました。しかし、これらの従来型の対策にはいくつかの課題があり、十分な効果を得られていないケースも少なくありません。
スポットクーラー・工場扇の使用状況
工場扇(大型の扇風機)は、安価で導入しやすく、一定の範囲に風を送ることができるため、多くの倉庫や工場で使用されています。また、スポットクーラーは冷風を局所的に送ることができ、屋外使用ができるタイプもあるため重宝されています。
しかし、これらの機器はいずれも「部分的な冷却」にとどまり、広大な倉庫内全体の温度や湿度を下げることは困難です。特に作業員が常に動き回るような現場では、風の当たる位置が限定されるため、冷却効果を十分に感じられないことが多いのです。
冷房設備が導入しにくい倉庫の事情
空調設備による冷却は、快適な作業環境を実現するための理想的な方法ですが、倉庫の構造上、それが難しい場合もあります。まず第一に、天井が高く空間が広いため、空調効率が非常に悪くなります。冷気が下まで届きにくく、温度ムラが生じやすいのです。
また、冷房設備の設置には高額な初期投資が必要であり、稼働コストもかさみます。さらに、多くの倉庫は断熱性が低いため、外気温の影響を強く受け、冷房だけでは十分な温度管理ができません。
空気が循環しないことによる弊害
熱中症対策において見落とされがちなのが、「空気の流れ」の重要性です。熱がこもった空間では、冷風を送っても効率的に熱が逃げず、湿度も下がりません。特に倉庫内のように区画が分かれていたり、通気口が少なかったりする環境では、空気が滞留し、温度と湿度が局所的に上昇します。
このような環境では、作業員の体感温度はさらに上昇し、汗の蒸発が妨げられて熱中症のリスクが高まります。従来型の扇風機やクーラーでは、空間全体の空気を大きく動かすことができず、根本的な改善には至らないのが現実です。
大型ファンで実現する効果的な熱中症対策

従来の扇風機やスポットクーラーではカバーできない広範囲な空気循環を実現する手段として、今注目されているのが「大型ファン」です。ここでは、大型ファンの基本的な機能や、倉庫の熱中症対策において優れている理由を詳しく解説します。
大型ファンの基本機能と仕組み
大型ファンとは、直径2〜3メートルを超える大型の産業用ファンで、低速回転により大量の空気を穏やかに循環させることができる設備です。単なる「強い風」を出すのではなく、「空間全体の空気の流れを作り出す」ことが最大の特長です。
高効率のモーターと独自設計のブレードにより、消費電力を抑えながらも天井から床面までの空気を大きく動かし、空気の滞留を防ぎます。この結果、温度ムラが解消され、体感温度を数℃下げることが可能になります。
体感温度の低下と作業環境の改善
大型ファンを導入することで得られる最大のメリットは、作業員の「体感温度」の大幅な改善です。実際の気温が同じでも、空気が流れていることで汗が蒸発しやすくなり、涼しさを感じやすくなります。これは、冷房がない倉庫においては非常に大きな効果です。
また、床から天井にかけての空気を撹拌することで、熱のこもりを防ぎ、倉庫内全体の環境が均一になります。作業場所による温度差が軽減されるため、どのエリアにいても快適な作業が可能になり、集中力の低下や事故のリスクも抑えられます。
電気代の削減・導入コストのバランス
「大型ファン」と聞くと、電力消費が大きいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、大型ファンは意外にも省エネ設計です。低速回転型であるため、消費電力は一般的なエアコンよりもはるかに低く、1日稼働させても電気代を抑えることが可能です。
初期費用は一般的な工場扇より高くなるものの、その分倉庫全体に渡る快適性の向上や、熱中症による労災リスクの低減、生産効率の維持といった「見えにくいコスト削減効果」を考慮すると、費用対効果の高い投資といえるでしょう。
さらに、設置が容易な吊り下げ型など、現場に合わせて柔軟に対応できる製品も増えており、短期間での導入も可能です。
※より詳細な内容は「HVLSファン徹底比較」からご確認いただけます。
倉庫の熱中症対策を「空気循環」で根本から支える|PRO FANS(プロファン)
倉庫の熱中症対策で重要なのは、冷やす以前に空気の滞留を解消して“体感温度”を下げること。 PRO FANS(プロファン)は、大風量をゆっくり循環させて施設内に自然な風をつくり、汗の蒸発(気化熱)を促して快適性を広範囲に届けます。
・体感温度の改善で熱中症リスク低減 大空間にそよ風を再現し、体感温度を最大5℃低下させる効果が期待できます。
・省エネで広範囲をカバー 例:4.2mモデルは最大消費電力350Wで、ファン中心から半径10m以上に効果を発揮。 「スポットクーラーや工業扇の増設で電力が足りない」といった悩みの解決策にもなります。
・倉庫にうれしい副次効果 倉庫内の風を循環させて温度・湿度のムラを均整化し、商品の結露やカビの抑制にも寄与します。
・冷暖房併用でコスト最適化 夏は温度ムラを整えて設定温度を下げ、冬は天井付近の暖気を循環。 空調コストを最大30%削減できるケースもあります。
・安心のサポート 製品保証3年〜最長9年、工事保証(設置から1年)など、導入後の安心材料も明示されています。
倉庫の天井高・広さ・作業動線に合わせて、最適なサイズ/台数を検討するのが効果を最大化するコツです。
※記載の数値・仕様・保証内容は、ラックライド社の製品ページ記載情報に基づきます。大型ファン導入事例とその効果

理論的な効果だけでなく、実際に導入された現場での具体的な事例や評価は、検討中の担当者にとって非常に参考になります。ここでは、大型ファンを導入した倉庫や工場の現場で得られた効果について紹介します。
導入現場の声(物流倉庫/製造現場など)
ある大手物流会社では、夏季の庫内温度が連日35℃を超える環境下で作業員の離職率や体調不良が課題となっていました。そこで、天井設置型の大型ファンを複数台導入したところ、空気の循環が改善され、作業員からは「風が心地よく、体の負担が減った」との声が上がったといいます。
また、製造業の現場でも、製品検査エリアや組み立て工程など温度管理が難しい場所での導入が進んでいます。現場責任者によれば、「エアコンが使えない空間でも熱がこもらず、業務効率が維持できている」との評価が得られています。
実際に得られた効果と数値的改善
大型ファン導入によって得られた効果の中で特に注目すべきなのが「体感温度の改善」です。ある倉庫では、導入前の作業者アンケートで「非常に暑い」と回答した割合が80%だったのに対し、導入後には半数以下に減少。また、WBGT(暑さ指数)も平均2〜3℃の改善が確認されました。
その結果、夏季の作業中断回数が減少し、作業効率が維持されることで、予定していた納期を前倒しで完了できるという成果も報告されています。熱中症による一時離脱者もゼロとなり、労災リスクの低減にもつながっています。
暑さ指数(WBGT)については環境省の公式サイトで確認できます。
導入を検討する際のポイント
大型ファンの導入を検討する際には、倉庫の天井高や広さ、作業動線などを踏まえて、最適な設置場所や台数を計画することが重要です。また、既存の換気設備との併用や、定期的なメンテナンス計画を立てることで、より高い効果が得られます。
導入企業の多くは「まず1台から試験導入し、効果を確認してから増設した」と述べており、段階的な導入も選択肢として有効です。費用対効果を明確にするためにも、稼働状況や温湿度の記録を事前に把握しておくことが推奨されます。
大型ファン導入のメリットについては、「大型ファンのメリットと活用方法」の記事でも紹介しています。
まとめ:倉庫の熱中症対策は「空気の流れ」がカギ

夏場の倉庫作業における熱中症リスクは、単なる体調不良にとどまらず、労働災害や業務停滞、企業の信頼低下にまで影響を及ぼす重大な課題です。従来の扇風機やスポットクーラーでは、局所的な対策にしかならず、根本的な改善にはつながりにくい現実があります。
そのような中で、広範囲に空気を循環させることができる「大型ファン」は、倉庫全体の温度ムラをなくし、体感温度を下げるという点で非常に有効な手段です。実際の導入現場でも作業効率の維持や、熱中症によるトラブルの減少が報告されています。
労働環境の改善は、従業員の健康を守るだけでなく、離職率の低下や生産性の向上といった企業にとってのプラス要素にもつながります。空気の「質」や「流れ」に目を向けることは、現代の暑さ対策における重要な視点といえるでしょう。
これから本格的な暑さを迎える前に、現場の環境を見直し、「空気の動き」を重視した対策を検討してみてはいかがでしょうか。大型ファンのような新しい設備の導入は、長期的に見て大きな成果をもたらしてくれるはずです。
※その他、施工事例はこちらでも紹介しています。
